数日が過ぎた。

 帝都はあいかわらず雑踏に埋め尽くされ、あわただしくも平穏な日常に包まれている。何万何千という人が過ごすこの街に、先日の死闘を知る者は誰一人として居ない。現地においても混乱は見られず、ただ東京湾をトロール船に引かれて進む翔鯨丸の姿が地元夕刊の小さな記事になっただけで、花組出動の詳細が報道される事は無かった。

 しかし───

 大破し浸水した翔鯨丸の復旧作業は神崎重工と花やしき支部の手によって急ピッチに進められているが、加山自身の手によって破壊されたエンジン部分の被害状態があまりにも深刻で、神崎重工の技術顧問は復旧までの具体的な日程さえも算出できないでいた。花やしきに収容された光武についても同様で、特にカンナ機と紅蘭機は全壊と見なされ、再利用可能な数点のパーツを残して廃棄処分とされた。ガルーダにいたっては元々実験機であった事も災いしてか、検討も無いままに廃棄が決定した。以後キメラ計画が再考される事は一切無いだろう。
 花組の被害は配備品類にとどまった話ではない。翔鯨丸の着水後、帝國海軍の護衛艦が直ちに花組の一同を救出したのだが、降魔と共に冷気を浴びた加山の状態は最悪を極めていた。全身を犯した凍傷の影響は著しく、その後の処置により手足の指や耳といった末端部の欠損は辛うじて免れてはいるものの、彼は現在も医療ポッドによる治療処置を受けている。回復の知らせは、まだ無い。
 また、紅蘭、さくら、そしてマリアの三人が戦闘と墜落による衝撃で重症を負い、各々が数週間から1ヶ月の入院を余儀なくされていた。比較的軽症のマリアは既にベッドから立ち上がる程に回復していたが、さくらと紅蘭は未だベッドの上での生活を強いられている。先に収容されていたカンナは徐々に回復の兆しを見せてはいるものの、急激な霊力の低下は彼女の精神バランスさえ失わせていた。医師の診断によれば、カンナ自身の体が持つ自立的な治癒納涼に頼るしか方法が無いらしい。 
 かえでは決戦の日以来、支配人室と演算室を往復する日々を過ごしていた。今回の作戦に関する賢人機関への報告作業は複雑を極め、彼女自身も額に包帯を巻くほどの怪我を負っているにもかかわらず、この数日間の彼女は殆ど寝ずの作業を強いられていた。報告しなければならない事柄は数えきれぬほど多いのだが、それらの内容は一様に芳しいものではない。実際、内容の殆どが花組の被害状況に関するものであるという事も、彼女に強い疲労感を与えていた。
 「ご苦労だな。今帰ったぜ」
 丁度、かえでが支配人室でせわしなくタイプライターを叩いていた時、陸軍の制服に身を包んだ米田が部屋に入ってきた。
 賢人機関と陸・海・空帝國軍の上層部は、今回の作戦における花組の行動と成果を重く見ていた。連日に亘り設けられる会議の場で、米田は常に厳しい詰問と叱責に晒されていた。折りしも帝都が平穏を取り戻しつつあり、賢人機関の中からも存在理由の薄れてきた華撃団構想の再構築を叫ばれていた時期である。失態は彼の立場を瀬戸際まで追い詰めていた。
 米田は椅子に身を投げるようにして腰を下ろすと、米田は黒壇の大机に会議で使われたらしい書類の束を置き、なお自分の手に持っていたファイルを開いた。この数日の疲労の為か、米田の横顔は普段よりも老いて見えた。
 「今後の花組についての配慮は如何様に下されたのでしょうか?」
 タイプライターから手を上げたかえでが伺うと、米田は答える前に一つ、重いため息をついた。
 「大破した光武の代替としてアイゼンクライトの使用が許可された。早速花やしきの連中が装備品の調達と整備にあたっている」
 光武の代わりにアイゼンクライト?
 一見当然にも見える配置ではあったが、かえでは大きな疑問を覚えた。確かにアイゼンクライトは光武シリーズに匹敵する霊子甲冑であり、星組から帝都に再配備された際にも当時の光武を凌駕する性能を発揮していた。
 だが、それは所詮「当時の」話なのだ。既に研究に次ぐ研究によって光武シリーズは日進月歩の進化を遂げ、その性能とコンディションには常に最高最強の名が与えられている。一方、アイゼンクライトシリーズの開発及び改良は、花組の隊員全員に光武が配置されて以来一切なされておらず、かつての名機も今や骨董品としての価値しか持たなくなっていた。しかも元々星組専用機として開発されているアイゼンクライトのチューニングは非常にシビアなもので、他の搭乗者が利用する事を許さない。結局、あのアイゼンクライトを動かせる人間はレニと織姫以外に存在しなかった。それについては光武も同様であり、システムである霊子機関以外は共通点の全く無い、文字通りの専用機となっているのだ。
 まさか・・・・・という、一分の不安を抱えながらもかえでは米田に尋ねた。
 「パイロットの補強増員は得られるのでしょうか?」
 その声に米田は沈黙を守った。意を解したかえでは思わず椅子から立ち上がった。
 「そんな・・・・・それでは、実質的な補強には至りません。アイゼンクライトの操縦はレニと織姫以外には不可能ですし、そうなれば二機の光武を持て余す事になります」
 「・・・・・」
 重苦しい空気の中、かえでの声だけが熱を増した。
 「ただでさえ、今はカンナを始めとした四人の主力を欠いているんです。増員無しには帝都の防衛は在り得ません!」
 「・・・・・」
 「今は少しでも霊力の高い人間を、訓練施設から・・・・・」
 その時米田の唇がピクリと動いて、かえでの言葉が止まった。眉間に深く刻まれた縦皺が、追い詰められた男の心境を表していた。
 「明日以降・・・・・」そこから先の米田の言葉に、かえでは耳を疑わずにはいられなかった。「明日以降、花組を含む全ての華撃団の活動は一時凍結する」
 

 

  
 「日本政府は華撃団の現状に対して『帝都防衛の任務遂行は不可能』という見解を示した」
 「明日以降華檄団が再起するまでの間、帝都の防御には陸軍が介入する」
 「帝都の数箇所に防衛拠点が新設される。そしてその拠点は華撃団が再起したとしても、恒久に維持される」
 米田の口から発せられる言葉の一つ一つが楔となってかえでの体に打ち付けられる。その傷口の数は次第に増し、広がり・・・・・かえでは体がバラバラになりそうな錯覚を必死で耐えなくてはならなかった。物理的になり得ないだけであって、感覚的には既に打ち砕かれていたのかもしれない。それ程の喪失感が彼女を襲った。
 「・・・・・納得出来かねます」
 全ての言葉を言い終えた米田が再びファイルへと目を移したところで、かえではようやく我に帰った。米田の視線が再びかえでに向けられると、かえでは必死の抗議を始めた。
 「私は賢人機関および帝国陸軍に対して新案の取り下げを直訴します」
 「草案は既に日本政府議会によって可決された。君ごとき一軍人が異論を挟めるような事柄では無い」
 「しかし、従来の兵器類で降魔を迎撃する事は困難のはず!それについては陸軍の兵器も同様ではありませんか?降魔を迎撃する術を持つのは我々華撃団だけのはずです!」
 「無論彼らも無知ではない。この計画の為に開発された新兵器が近々導入されるそうだ」
 「馬鹿な・・・・・開発元は何処なんですか?花やしきからもそんな報告は受けていません!」
 「実配備が完了するまでは陸軍の内部機密とされている。少なくとも花やしきの管轄ではない」
 連続して知らされる事実に、かえでの唇は言葉を忘れ、ただ震えた。体の中で、何かがガラガラと音を立てて崩れ落ち始めていた。それを取り戻したい衝動に突き動かされ、かえでは喉を振り絞るようにして叫んだ。
 「私達がここで手を引く事が許されるのですか!?」
 「どういう意味だ」
 「あの降魔は・・・・・あの降魔は、まだ生きています!」
 花組の全てと引き換えに氷柱に変えられた降魔は、救出隊と共に現れた別動の調査隊によって収監されていたが、その後の彼等の調査により、一部の組織細胞が死滅していない事が判明した。
 元より降魔の捕獲を目的とした作戦ではあったものの、最終的には殲滅の道を選んだはずだ。なのに、降魔は生きている。翔鯨丸と光武、そしてガルーダを引き換えにしても、結果として花組は降魔を殺す事は出来なかったのだ。書面にて初めてこの事を知らされた時、かえでは何故かとてつもない不安に駆られたのだ。
 花組の力を超える降魔を手に入れる事が、賢人機関の何に貢献するというのだろう?
 今の彼女は、たとえそれが試験管の中の出来事であろうと、降魔がまだ生きているという事にも、そのような状況を許し、望んでいる賢人機関にも、不安を覚えずにはいられなかったのだ。 、
 そして、既にその事実を知る米田はかえでの言葉を無下に退けた。
 「それについての調査は、賢人機関に選抜された研究者達の手に委ねられている。我々の管轄ではない」
 それでもかえでは叫んだ。叫ばずにはいられなかった。足元から押し寄せてきた悔しさが、ついに爆発する。
 「何故、全てが明らかにされないんですか!?あの命令は何の為に───」
 その時、米田がはじめてかえでの言葉を遮った。
 「その命令を果たせぬどころか危うく全てを失いかけた我々には、もはや与えられるべき新たな任務は無い」
 「・・・・・どういうことです?」
 最初、かえでには米田の言葉の意味が判らなかった。気を静め、米田の言葉をもう一度理解しようと試みた時、かえでははじめて米田の目を見た。
 それはかえでが初めて見る表情だった。強い疲労によって眼窩に落ち込んだ彼の瞳が全ての表情を奪っていた。数日前に見た時は歳相応だった白髪が明らかに多くなっている。頬もこけ、まるで病人のような姿だった。
 「華撃団は───壊滅した」そう言う米田の声には、かすかな悔しさが込められていた。「『降魔一匹捕らえられなかった華撃団に、帝都の防衛を任せられようか』というのが彼らの見解の一致だ。この事実がある以上、俺達は一切の反論は許されない。この決定は帝都の防御を司る立場からも・・・・・いや、帝都の防御を思えばなおさら、従うべきなのだ」
 ついに全てが崩れ落ちた。
 最後の欠片を腕に抱える事も出来ず、その破片も砂と帰し、指の間から流れ落ちる。そうして崩れ落ちていく砂が、実は自らの体の一部である事に気づくのに、かえでは相当の時間がかかった。完全に自我を失っていたのだ───全ての感覚を失う程に。
 「俺達の任務は一つではない。帝都の為に我々がやるべき事も、一つではないはずだ」
 「ばかな・・・・・ばかな・・・・・ばかな・・・・・」 
 かえでの頬を涙が伝った。崩れ落ちた膝が床を打っても、かえでが気を取り戻す事は無かった。それが復活の為の呪文であるかのように、彼女の唇はその言葉だけをひたすらに繰り返し続けた。 
 
 


 
 そうして───どれ程の時間が経ったのだろう。
 ついに涙も枯れ、それまで涙で歪められていた視界がようやく明るさを取り戻した時、かえでは自分の目の前に突き出されていたタイプ用紙の存在に気付いた。米田だった。
 紙には次の文字が刻まれていた。

  『黙って読め。盗聴されているかもしれない』
 
  『華撃団は復活する』  
 

 かえではその文章を見た瞬間、信じられぬ思いで、だが素早く視線を部屋の四方に散らした。
 「タイプライターを貸してくれ」
 「えっ?」
 「ここから先は俺が打とう。資料を出してくれないか」
 突然の米田の真意が読み込めず、うろたえながらもかえでは立ち上がった。だがそんな彼女の様子に構うことなく、入れ替わって席に着いた米田の節くれだった指が、その外見からは想像できないほどの滑らかさでタイプライターの指板の上を走りつづける。明らかにかえでの動きを上回るスピードだ。独特の操作音が最初は断続的に、そして徐々に間隔を置かずに鳴り響いた。

  『今回の作戦は降魔の捕獲だった。
   だが考えても見ろ、あの作戦内容。降魔の脅威。我々の不備。そして、大神の不在・・・・・
   一見、あらゆる偶然の要素が重なった上で今回の失態が招かれたように見える。
   だが、全ての偶然が作為されたものだとしたらどうする?』

  『我々はマンタレイとガルーダ無しには勝つ事は出来なかった。
   それだけが唯一の偶然だと言える。なにしろガルーダの保管は完全機密だったからな。
   その上、ガルーダが現在も起動可能である事は、花やしきの一部のエンジニアと紅蘭、そして加山しか知らん事だ』
 

 「司令、これは・・・・」
 かえでは信じられぬ思いで米田の顔を覗き込んだ。米田は手の動きを一旦止め、指の関節をパキパキと鳴らした。咳払いを一つ唸り、伸びをする。
 「かえで君、俺の机の引出しからファイルを取りだしてくれ。赤い帯のやつだ」
 赤い帯のファイル?
 あれは米田が直接管理する極秘書類専用のファイルではなかったか。彼女はそれを即座に見つけ出すと、再び米田の手が動きだすのを待たずにファイルを開けた。中には数枚の写真と、それらについての調査資料らしき物がクリップに止められていた。かえでは直接写真を手に取り確かめたが、研究所と思わしき施設の風景が映っているばかりで、何のために撮影された物なのかは見当がつかない。中には屋内の風景を写したものもあったが、疑問を解決するには至らなかった。
 しかし、最後の一枚がかえでの背筋を凍りつかせた。その写真に写っていたのは、降魔の姿だった。まともにピントの合っていないおぼろげな写真だったが、降魔の右肩部分がすっぽりと無くなっているのがはっきりと確認出来る。熱海に出現し、ガルーダを骸と変えたあの降魔である事に間違いは無い。
 この写真は何処で撮影され、如何様にしてこの場にあるのか?かえではそれらを尋ねる事も出来ず、ただその場に立って米田の言葉を待つばかりだった。
 
  『ならば、何者の仕業だというのか?我々を何故壊滅させるのか?
   それを説明するために、話さなくてはならない事がある。
   もうファイルは開けているな?写真が見えるだろう。
   超望遠の撮影だが、それに写っているのは紛れもない降魔の姿だ』

  『今回の戦いが終了し、お前達が病院に収容されたのを知った直後、
   俺は降魔が何処に搬送されたのかを月組の隊員に追跡させた。
   そして、届けられたのがこの写真という訳だ。
   だが残念な事に、この写真が一体何処で撮影されたのかは明らかではない。
   おそらく関東近域であるとは思うのだが、それさえ当てにはならんかもしれん。
   だが確実に言えるのは、降魔は帝國陸軍の管轄を離れた場所に置かれているという事だ。
   少なくとも俺はその研究施設の外見すら見たことがない。
   任務に当たった隊員からの連絡はこの写真が届けられて以来、途絶えている。
   多分、生きてはいないだろう。
   だがその事からも、この場所を統括する組織が今回の事件に直接的に関与していると見て間違いない』

   
  『我々が帝都の防御から手を引けば、当然のようにその代行が何某かの手に委ねられる。
   その組織、あるいは人物が十分にその任務に対して機能するならば、
   それは同時に我々と同じだけの力を持つ事を意味している。
   それがどれだけ危険な事か、理解できるか?
   我々の力は計り知れない。我々の力を軍事力として見た場合にも同様だ。
   華撃団と対等の兵力を持つ国家は、アジア圏内には存在しない。
   組織の研究開発と維持には国内最大の財閥と、海外数箇所の協力機関が全面的にバックアップする。
   有事の際には最優先であらゆる決定が下され、その為の発言権が与えられる。
   たった一言で国家予算を覆し、その気になれば法律を書き換えることさえ可能。
   我々の力とは、即ち権力に他ならないのだ』

 
  『今回の首謀者を“A”と呼ぶならば、“A”はその権力を手中にする事になる。
   たとえ“A”が霊力を持たずとも、華撃団と同様の任務を遂行するとなれば、
   9体の光武に匹敵する兵力が与えられるだろう。
   その為の予算も国会にて正式に設定されるだろうし、その額面は“A”の要求するままに与えられるだろう。
   政治に対する影響力も、強大な物になるはずだ』

 
 「・・・・・司令、ではこの項目はこう書くべきでしょうか」
 米田の肩越しに打ち出される紙面を見ていたかえでは、片手を伸ばすと滑らかにキーを叩いた。
 
  『“A”の目的とは、我々を壊滅させた上で営利の為に帝都防御の任務を乗っ取る事だったと?』

 打ち終えた後、ためらいがちに手を引くかえでの、その複雑な表情を見上げながら米田は静かに頷いた。

  『そう考えて間違いないだろう。
   ただ、「“A”=帝國陸軍」と結論付けるのは早計かもしれない。
   今後、俺たちはそれについての調査を進めなければならん。
   奴等は降魔を生かしている。その目的を突き止めなくてはならん。
   賢人機関、日本陸軍、あるいはそれらを含む全てを相手にしなくてはならないかもしれない。 
   あらゆる手段の利用を許可する。加山の退院を待ち、最優として取り組んでほしい。
   通信暗号は最高レベルで4時間毎に変更。記録は残すな』

 
 そう打ち終えて手を止め、米田は一時考える素振りを見せてからさらにこう続けた。
 
  『巴里支部へ連絡し、大神と巴里市内の様子を6時間毎に報告させておけ。
   今もオーク巨樹との戦いでの復旧作業中だろうが、状況の進行によっては大神を引き戻したい。
   今の俺達には奴が必要だ。迫水とイザベル夫人には俺が直接話をつけてやる』

 
 米田が席を立った。
 「俺の原稿は残すなよ。お前が打ち直しておけ」
 「・・・・・了解しました」
 かえではやや間を置いて返答すると、タイプライターから紙を引き抜いた。そして机の上の灰皿にタイプ用紙を乗せ、ライターで紙の端に火を付けた。炎は瞬く間に燃え上がり、極薄のタイプ用紙は空中に黒い燃えカスを散らしながら燃え尽きた。
 米田は完全に炎が燃え尽きたのを見届けると、ファイルを再び手にして中身を引き抜き、それを赤い帯のファイルへと移し換えた。そして外着に手を掛ける。
 「司令、どちらへ?」
 「ちょっと」手早く外着に袖を通し、振り返りもせず米田は言う。「ちょっと、一杯やってくる」
 翻った襟の向こう側に、かえでは米田の表情を見た。
 病的なまでのやつれ具合という印象は変わらなかったが、その瞳には確かな精気が宿っている。それに気付いた時、かえではようやく気付いた。
 
 そうか。
 
 それならば。
 
 そうしてドアの向こうに消えた米田の背中を、かえでは何故か敬礼で見送った。既に不安も消えていた。再びタイプライターに向き直ると、確かな指使いで再び文書を製作し始めた。
 行うべき事は、一つでは無いのだから。
 
 
 米田が持ち出した赤い帯のファイルに保管された書類には、こう記されていた。
 
 
 『米国民間企業開発無人人型蒸気(仮称:ヤフキエル)の導入草案
  ヤフキエルを全面活用した帝都防衛隊編成及びその仕様書』



Fine & continue with the MOVE


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あとがき


長期、そして不定期に連載されたこの作品にお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
なによりもまず、この「ライトスタッフ」読了いただきました事について、お礼を申し上げます。

絶体絶命の状況の中、たった一人で何が出来るのか。
今回、私はこの事をテーマに物語を作ってみました。
常に部隊の事を中心に物事を進めようとするが、常に独走しがちで誤解を受けてしまう加山。
大神という存在を失い、代理として入隊した加山を受け入れようとする隊員たち。
双方の間には、やはり埋める事の出来ない溝がある。
しかしその溝の存在を知りつつも力を合わせねばならなくなった時、彼達は何を思い、何を知るのか?
キーワードは「All for One,One for All」
文面や物語の進行からは感じにくいかもしれません。
ですがこの事を感じた人が一人でもいるならば、私は幸せな事この上ありません。

最後になりますが、連載終了間際に私の八つ当たり気味なメールを受け取って、
それでも私を快く励ましてくれた多くの方々に感謝します。
ありがとうございました

2003/09/27
fugueの小次郎